出会いと信頼から届いたエクアドルのコーヒー
Ecuador Eliza
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
エクアドルのコーヒーのご紹介です。
このコーヒーを私たちに届けてくれたのは、rurukuna Inc. の望月光さん。焙煎の勉強会などでもいつもお世話になっている先輩のおひとりで、気さくで、そしてとても熱い想いを持った方です。「エクアドルのコーヒーの魅力をもっと日本に伝えたい」という気持ちを本気で形にしている姿を、私はずっと尊敬しています。
私自身も、望月さんが紹介してくれるエクアドルのコーヒーが大好きで、毎年届くたびに「今年はどんなストーリーに出会えるんだろう」と楽しみにしています。コーヒーそのもののクオリティはもちろん、生産者の考え方や畑の風景、その背景まで含めて届けてくれるのが、望月さんのコーヒーの魅力だと感じています。
今回ご紹介するEliza農園も、そんな望月さんを通して出会った農園のひとつです。エクアドル南部ロハ県、ビルカバンバから車で約1時間半。標高1,700mから2,275mという高地に、La Noria、El Dorado、そしてElizaの3つの農園が広がっています。2016年にBernard Uhe氏によってスタートしたこれらの農園は、コロンビア・ボゴタ近郊のコーヒー産地で代々働いてきた家族とともに運営されています。
広大な敷地には十分な間隔をとってコーヒーの木が植えられ、豊かなシェードツリーのもとで丁寧に栽培されています。農園内には、みみずを活用した堆肥づくりのステーションが設けられ、そこから生まれる液肥を用いながら土壌の循環を意識したオーガニックな環境づくりが行われています。Eliza農園には人工池も設けられ、水源を守りながら栽培を続けています。
2023年、この3農園で収穫されたコーヒーは、Cup of Excellenceで全農園がトップ10に入賞するという快挙を成し遂げました。La Noriaは第1位、さらに国内最大の品評会Taza Doradaでも同ロットで優勝。El Doradoは8位、Elizaは10位と、いずれもGesha種での受賞でした。COE前に訪問し予約していたロットが1位を獲得したと知ったときの驚きと喜びは、今でも鮮明に覚えていると、望月さん。ライブ中継後にBernardへお祝いのメッセージを送ると、「今君たちの手元にあるのが、その1位の豆だよ」と返事をくれたそうです。その言葉は、単なる受賞以上の意味を持っていました。
実は、Bernardとの最初の取引は決して順調なものではなかったそうです。初年度に注文したロットとは異なる豆が日本に届くというトラブルがあり、一度は取引を断念しかけました。それでも、農園の真摯な対応と具体的な改善策、そしてコーヒーに向き合う姿勢に触れ、もう一度向き合うことを決意。やりとりを重ねるうちに信頼関係が生まれ、翌年には初年度に購入するはずだったロットがCOE第1位を獲得。再会したときには、すでに親友のような関係になっていたそうです。
誰にでも失敗はあります。それをどう受け止め、どう次へ活かすか。その姿勢こそが農園の未来をつくる。Eliza農園は、単に高得点を獲得する農園ではなく、挑戦と改善を重ねながら前へ進み続ける場所です。
日本に入港後に。このコーヒーのサンプルをいただきました。カッピング形式でテイスティングを行ったのですが、3口目くらいですでに"あと何キロ在庫ありますか?"と望月さんに連絡しました。べっこう飴のような甘さとエクアドルらしいトロピカルフルーツの印象に、一瞬で引き込まれたのを覚えています。
焙煎は浅煎りで仕上げました。1ハゼの後に温度上昇がガクッと落ちるので、そこで火力不足にならないように調整。1分20秒程度ディベロップタイムをとることで、この豆のもつ甘さを表現しています。(今年はEliza農園のコーヒーをいくつか焙煎したのですが、同じ農園のコーヒーでも品種や状態によって全然焙煎中の挙動が違うのが、当たり前だけど改めて面白いなと感じました。)
豆を挽いた瞬間から、果物のような甘い香り。思わずまだ飲んでもないのに、美味しい!と言いたくなります。実際に淹れてみると、淹れたてはTypica Mejoradoらしいフローラルな香りに思わずうっとり。飲んでみると、パワフルな甘さがどんと口いっぱいに広がります。パパイヤやリンゴのような爽やかな酸味も感じられ、甘さとのバランスがいい塩梅です。複雑で密度のある味わいながら、どこか瑞々しさがあり、澄んだ心地よさを感じる一杯。繊細さと力強さのどちらも兼ね備えた、魅力あふれるコーヒーです。
今年もまた、この土地からどんなストーリーが生まれるのか。
望月さんを通して届く一杯に、その続きを感じていただけたら嬉しいです。