小規模農家と共につくる、Tri-Up Project
Tri-Up Project『AMBER』
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
パナマのコーヒーのご紹介です。
Tri-Up Projectのコーヒーは、今年で3年目を迎えました。
このプロジェクトは、2023年にスタートしました。きっかけは、Tri-Upのエリックが、小規模農家の現状に疑問を持ったことでした。多くの農家が、自分たちのコーヒーのポテンシャルを十分に理解しないままチェリーを精製所へ持ち込んでいる。その姿を見て、「もっと一緒に良くしていけるはずだ」と感じたそうです。そこで彼は、自身の持つ精製ノウハウを共有し、農家と共に品質を高めていく取り組みを始めました。ただ買い付けるのではなく、毎年少しずつ品質を引き上げながら、継続的に関係を築いていく。Tri-Up Projectは、そうした想いから生まれています。
この3年間で設計されたのが、2つのナチュラル精製レシピです。
ひとつは「RUBY(ルビー)」複雑で、より爆発的なフレーバーを目指したスタイル。
もうひとつは「Amber(アンバー)」繊細で、ゲイシャらしい透明感を引き出すレシピです。
今回のロットは、主に3名の農家によるコーヒーで構成されています。パナマ・ボケテの標高1,600m以上の農園で収穫された、厳選されたゲイシャ種のチェリーのみを使用。ナチュラルプロセスを基軸に、レシピに沿って丁寧に仕上げられています。プロジェクトは3年目に入り、品質もより安定してきました。それでも、より良いカップを目指して、今も試行錯誤は続いています。このエリア特有の華やかなフローラルな香りと、鮮やかな酸。その魅力を最大限に引き出そうとする姿勢が、カップからまっすぐに伝わってくるコーヒーです。
年を重ねるごとに味わいのプロファイルは安定してきていますが、同じレシピをそのまま繰り返しているわけではありません。昨年のAmberは、ナチュラルプロセスの乾燥工程の後半にチェリーを徐々に積み重ね、フレーバーに深みを持たせる方法が採用されていました。一方で今年は「Single-layer Natural」と呼ばれる方法で、チェリーが重ならないよう薄く広げて乾燥させています。プロセスを行っていた期間は連日雨が続いていたそうで、その影響を受けないようチェリー同士の間隔を広く取り、発酵を抑える狙いがあったとのことでした。
昨年と何が変わったのか、そしてなぜその方法を選んだのか。そうした背景が見えてくるのも、このプロジェクトの面白さだと感じています。
焙煎は浅煎りで仕上げています。水分値がやや低めで、クリーンな印象のゲイシャとのことだったので、サンプルローストは優しくゆったり焙煎してみたのですが、全体的に少し暗い印象になってしまいました。投入温度を少し高くして焙煎前半の熱量を増やし、フレーバーや酸をしっかりと引き出すように修正しました。
昨年のAmberは、ウォッシュトプロセスのようなクリーンで繊細な味わいでした。今年は、ナチュラルプロセスらしいベリーの印象がより分かりやすくなったように感じます。
温かいうちは、フローラルで紅茶のような印象。冷めるにつれて、ラズベリーやチェリーのような赤い果実を思わせる味わいが広がります。焙煎後のカッピングでも、冷めきってからもう一度啜ったときに、華やかないちごのようなニュアンスが感じられました。(想像以上にしっかりとしたベリー感があり、思わず一緒にいたスタッフにも「これ、いちごですよね!?」と確認してしまいました。毎年驚きがあるから、コーヒーは本当に楽しいですね。)
上品さはそのままに、冷めるにつれて味わいの表情が少しずつ変わっていきます。ぜひゆっくりと楽しみながら味わっていただけたら嬉しいです。
このコーヒーは、小規模の農家が手がけたコーヒーチェリーから生まれています。規模の大小にかかわらず、高品質なコーヒーを生み出す生産者たちの情熱と努力。Tri-Up社は、こうした農家とともに品質向上に取り組み、より良いコーヒー作りを目指しています。新たな可能性を探求する彼らの挑戦と、その先に広がる未来に思いを馳せながら、ぜひこのコーヒーを楽しんでいただけたら嬉しいです。