家族の未来のために、より良い一杯を
Honduras Las Botijas
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
ホンジュラスのコーヒーのご紹介です。
ホンジュラスの山あいにある Las Botijas(ラス・ボティハス)。
「ボティハス」とは、湿気を避けてお金を地中に隠すために使われていた、二つの口を持つ丸い土器のことを指します。これらは後に掘り起こされ、19世紀には楽器としても使われていました。Las Botijasという農園名は、こうした「地中に隠された宝物」にまつわる町の伝説に由来しています。
農園主のアベルさんは2011年にこの土地を購入し、実が大きく力強いパカマラをはじめ、現在ではゲイシャの栽培にも取り組んでいます。もともと野菜農家だったアベルさん。試行錯誤を重ねながらコーヒーづくりを学び、少しずつ自ら精製まで手がけるようになりました。決して順風満帆とは言えない道のりでしたが、品質に真摯に向き合い続ける姿勢と周囲の支えによって、彼のコーヒーは次第に国際的な評価を得るようになります。現在はコーヒー栽培と運送の仕事を両立しながら家族を支えています。彼の一番の目標は、長男をより良い大学へ進学させ、生物学の勉強を続けさせることです。
農園では、収穫から乾燥までのすべての工程を丁寧に管理し、完熟したチェリーのみを選別。常に安定した品質を目指し、日々改善を重ねています。しかし、こうした安定した環境に辿り着くまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。アベルさんは次のように語っています。
「私の人生は決して楽ではありませんでした。今の目標は、とにかく貧困から抜け出すことです。資源が足りないこともあれば、何をすればいいのかわからないこともあります。」
また、彼はこうも語っています。
「ダイレクトトレードは、すべての生産者の夢ですが、実際には簡単ではありません。オークションは、国際的なコミュニティに知ってもらうための素晴らしい場です。生産者として、こうした機会を探し続けることはとても重要です。」
"家族の未来のために、より良いコーヒーをつくりたい"
その想いが、この一杯には静かに、しかし確かに込められています。
カッピング会で出会った、キラキラとした酸味が魅力的なこちらのゲイシャ種。華やかで軽やかな浅煎りに仕上げました。
最初にサンプルローストを行う際は、1ハゼのタイミングを見極めるために、香りを確認しながらその瞬間をメモしています。こちらのホンジュラスは、想定していたよりも早い段階で1ハゼが始まり、驚きつつも慎重に焙煎を進めました(ポーカーフェイスですが、内心はドキドキしています笑)。カッピング後に焼き直す際には、1ハゼがやや早く訪れることや、1ハゼ後に温度上昇が落ちやすい点を踏まえて、改めて焙煎計画を練り直します。最終的には、焦がさないよう前半からやさしく火力を与えつつ、後半も落としすぎないようにコントロールし、じっくりと浅煎りに仕上げました。
ちょうどイベントでもこちらのコーヒーを販売していたのですが、「美味しい」とご好評の声をいただき、とても嬉しく思っています。派手な味わいではありませんが、上質で丁寧な印象があり、心を癒してくれる一杯です。
淹れたては、ゲイシャ種らしいフローラルな香りと、レモンキャンディーのような甘酸っぱい味わいが広がります。冷めるにつれて、ストーンフルーツを思わせる甘みや、緑茶のような後味も心地よく感じられます。温かい温度帯でのきらっとした酸味の瞬間も、ぬるくなってよりフローラルさが際立つ瞬間も、そして冷めても続くなめらかな質感も、どの表情もお気に入りです。