イエメンの伝統と家族の新しい挑戦
Mohammed Hussien
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
イエメンのコーヒーのご紹介です。
父の日の贈り物にもおすすめの、鮮やかな深煎りのコーヒーです。
イエメンは、アラビア半島の左下に位置する国で、中東では唯一の生産国です。Haraz地区はYemen北西部に位置しており、標高が高く寒冷な気候かつ、火山性の土壌に恵まれています。降水量が多いため、傾斜地に階段状に畑が作られコーヒーの木が植えられているのが特徴です。お米でいうところの棚田みたいな感じですね。石垣で階段上に農地を作ることで、土壌の侵食を防ぎながら水分を保持しコーヒーの木の育てやすい環境を生み出しています。限られた土地の中で、自然と共存しながら積み重ねられてきた知恵を感じますね。
Harazのコーヒーは、レーズンを思わせる凝縮感のある果実味、なめらかな質感、そしてチョコレートのような余韻を持つことで知られています。イエメンの中でも特に品質の高いコーヒーを生産する地域として評価されており、古代ティピカ系統に属する「Ja’di(ジャアディ)」や「Dawairi(ダワイリ)」といった在来品種が今も大切に育てられています。
今回ご紹介するのは、Haraz地区のBait Alamier villageで生産された、Mohammed Hussien氏によるSingle Farmer Nano Lot。 モハメド氏は、標高2,100mから2,250mの高地で約3,000本のコーヒーの木を育てる生産者です。土地への深い敬意を持ちながら、伝統を大切にしつつ、新しい挑戦も積極的に取り入れています。
実はこのロット、彼にとって“初めてアナエロビック精製に挑戦した年”のコーヒーでもあります。イエメンの伝統的な風味を残しながら、さらに新しい味わいの可能性を引き出したい。そんな思いを込めて、丁寧に作り上げられました。収穫期には、3人の子どもたちと2人の兄弟が農園に集まり、収穫から精製、乾燥までを家族で分担しながら進めていきます。決して大規模ではない、小さな家族経営のロット。だからこそ、一つひとつの工程に人の手と想いがしっかり宿っています。
精製は、完熟チェリーを収穫後、酸素を遮断した環境でアナエロビック(嫌気性)発酵を実施。その後はアフリカンベッドで18日から24日かけてゆっくり乾燥させ、さらに約1ヶ月間休ませることで、味わいの均一性を高めています。最後は手作業で丁寧に選別され、ようやくこの小さなロットが完成します。イエメンらしい伝統的な在来品種と、現代的な精製アプローチ。長い歴史の中で受け継がれてきた土地の個性と、新しい挑戦への意志。その両方が詰まった、とても魅力的なコーヒーです。
ちょうど気温も上がってきて、そろそろアイスコーヒーが美味しい季節ですね!
今回は、夏の定番「氷出しコーヒー」にしたくなるような深煎りをイメージして仕上げてみました。焙煎時間は約9分30秒。短時間でしっかり熱を入れることで、鮮やかな果実味を残しながら、深煎りらしい心地よい苦味も感じられる一杯を目指しています。
黒っぽい見た目からは想像できないような、ぶどうやベリーを思わせる甘やかな香りが、袋を開けた瞬間からふわっと広がります。豆を挽いた瞬間も華やかな香りが立ち上がり、抽出前から少し気分が上がるようなコーヒーです。しっかりとした苦味がお好きな方は90℃前後で、甘さをより引き出したい方は80℃くらいまで少し冷ましたお湯で淹れていただくと、お好みに合わせて楽しんでいただけると思います。
ひと口目は、深煎りらしいビターな印象。そのあとから、じんわりとぶどうやチョコレートのような甘さが広がっていきます。後味には、どこかバーボンを思わせるような、ほんのりアルコール感のある余韻も。冷めるにつれて、ブルーベリージャムのような濃密なベリー感が現れ、より果実味豊かな印象へと変化していきます。イチゴのような甘い香りも重なり、よりアロマティックな雰囲気に。
複雑で華やか。
でもどこか落ち着きがあって、ゆっくり余韻に浸りたくなるようなコーヒーです。
【おすすめのレシピ】
粉量 20g(中挽き)
お湯 300g(85℃)
0:00 50g
0:30 +100g (150gまで)
1:00 +100g (250gまで)
1:30 +50g (300gまで)
〜2:15くらいでFin