三世代、そしてその先へ
Guayambaらしさ求めて
Finca Guayamba
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。コロンビアのコーヒーのご紹介です。
コロンビア南部のウイラ県Timanaに位置するFinca Guayamba。農園主のRobinsonさんとコーヒーとの関わりは、まだ4歳から5歳だった頃まで遡ります。もともと両親はタマネギを栽培していましたが、その後コーヒー栽培へと転換。幼いRobinsonさんも両親のそばで、小さな苗床をつくったり、コーヒーの木へ水をあげたりしながら育ちました。最初は200本ほどの小さなコーヒーの木から。決して順調なことばかりではなく、干ばつによって作物が駄目になってしまうような厳しい時期も経験したそうです。それでもコーヒーづくりを諦めることなく、少しずつ農園を成長させてきました。両親がコーヒーと向き合う姿をすぐそばで見ながら育ったRobinsonさん。その時間の中で、コーヒーへの愛情と敬意も自然と受け継がれていったのだと思います。
Finca Guayambaが目指しているのは、「模範となるような、そして他とは違うコーヒー」をつくること。そのために大切にしているのが、特別な技術ひとつに頼るのではなく、種子の選定から栽培、収穫、発酵、乾燥まで、一つひとつの工程を細かく管理することです。まず栽培前には土壌分析を行い、その結果に合わせて必要な栄養素を見極めながら施肥を行います。コーヒーの木を健康に保つための葉面散布なども取り入れ、それぞれの品種が健やかに育つ環境を整えています。
そして、収穫後もその丁寧さは変わりません。発酵、乾燥と、それぞれの工程で温度や状態を細かく確認しながら精製を進めています。好気性発酵と嫌気性発酵の両方を使い分け、完成したコーヒーは自らカッピング。「もっと良くできるところはないか。」出来上がったコーヒーを飲み、また次の生産へとつなげていく。その繰り返しによって、Finca Guayambaの品質は少しずつ磨かれてきました。
現在、農園には約12種類の品種が栽培されています。Pink Bourbon、Geisha、Orange Bourbon、Catuai MG2、Aji、Yellow Bourbon、Arusiなど実にさまざま。中でもRobinsonさんが「この農園を代表する存在」と話すのが、PapayoとPink Bourbonです。特にPapayoはFinca Guayambaとの相性が良く、ナチュラルプロセスによって素晴らしい結果を生み出しているそうです。ただ珍しい品種を育てるのではなく、それぞれの品種と土地の相性を見ながら、栽培から精製まで向き合い、そのコーヒーが持つ魅力をどうすれば最大限に表現できるのかを考える。そこにも、Robinsonさんらしい実直なコーヒーづくりが表れています。
「コーヒーがあったからこそ、家族がひとつになれた。」
農園の紹介文にあったRobinsonさんのこの言葉が、とても印象的でした。
Robinsonさんにとって、コーヒーは単なる農作物でも、仕事でもありません。コーヒーを通じて家族がつながり、一緒に働く人たちとの関係が生まれる。そして地域に仕事をつくり、自分たちの暮らしも少しずつ豊かになっていく。だからこそ、コーヒーを育ててくれる自然への敬意も忘れません。水源や自然環境を守り、木を植えるなど、次の世代へこの土地を残していくための取り組みも続けています。そして今、そのコーヒーへの想いはさらに次の世代へ。
Robinsonさんの息子もコーヒーに情熱を持ち、さらに8歳になる孫娘も、すでにコーヒーを淹れ、さまざまな抽出方法に興味を持っているそうです。エスプレッソやラテまでつくるというから驚きですね!
両親からRobinsonさんへ。
Robinsonさんから子どもたちへ。
そして、今度は孫娘へ。
三世代、そしてその先へと、コーヒーの文化が自然につながっていきます。
Robinsonさんは、自分たちのコーヒーを飲む人に「とても丁寧につくられていることを知ってほしい」と話します。お客様へ、自然へ、そして一杯のコーヒーを飲んでくれる人へ。たくさんの愛情と敬意を込めて、一つひとつの仕事に向き合う。コーヒーとともに育ち、人生を歩み、そしてその文化を次の世代へつないでいく。Finca Guayambaのコーヒーには、Robinsonさんと家族が積み重ねてきた時間まで、ぎゅっと詰まっているように感じます。
生豆の袋を開けると、少し洋酒を思わせる発酵由来の香りと、ドライフルーツのような甘い香り。そのまま食べることはできませんが、なんだかちょっと美味しそうです。香りからも、Robinsonさんのプロセスへのこだわりが伝わってきます。
水分値はやや高めで、豆の色も少し黄色っぽく、焙煎はなかなか難しいコーヒーでした。発酵感だけを強く出すのではなく、この豆が持っている複雑な果実感もしっかり引き出したい。ただ、ゆっくり焙煎しすぎると、カカオのような少し茶色い味わいが強くなってしまう。「ちょうどいい塩梅はどこだろう」と、探りながらプロファイルの調整を行いました。焙煎前半は、表面を焦がさないよう少し優しく熱を加え、中盤からはしっかりとエネルギーを与えて反応を進めます。そして後半は、せっかくの鮮やかな果実感を損なわないよう、ディベロップタイムを短めにして仕上げました。最終的には、温度変化とともにいろいろな表情を楽しめる、面白い一杯に仕上げられたと思います。
温かいうちは、巨峰やレーズン、ミルクチョコレートを思わせる、しっかりとした甘さが口いっぱいに広がります。浅煎りではありますが、軽やかというよりも、どっしりとした存在感のある味わいです。温度が下がるにつれて、巨峰のような濃厚な果実感は、プラムを思わせる甘酸っぱいストーンフルーツのニュアンスへ。さらに、バーボンなどの洋酒を思わせるアルコール感もじわじわと現れ、ぐっと奥行きのある味わいへと変わっていきます。余韻にはほんのりスパイシーな香りも感じられて、ひと口ごとに表情が変わるのもこのコーヒーの面白いところです。
アイスコーヒーにすると、カカオ感やお酒のような味わいがより前面に。しっかり冷やして飲むと、まるで梅酒や洋酒を楽しんでいるような、ちょっと大人な雰囲気があります。暑い日のコーヒータイムを、いつもより少し贅沢な大人時間にしてくれる一杯です。
Robinsonさんが大切にしているのは、コーヒーを飲む人への敬意と、一つひとつの仕事を丁寧に積み重ねること。その丁寧な仕事とコーヒーへの愛情が、この一杯からも伝わったら嬉しいです。