受け継ぎ、切り拓き、未来へつなぐコーヒー
Nicaragua El Porvenir
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
ニカラグアのコーヒーのご紹介です。
エル・ポルベニール農園は、ニカラグア北部ヌエバセゴビア県東部、サンフェルナンド地区のホンジュラスとの国境沿いに位置するコーヒー農園です。ほとんど手つかずだった土地から始まったこの農園は、今や世界から注目されるコーヒーを生み出す場所へと成長しました。
農園主セルヒオ・ノエ・オルテツ氏は、現在3つの農園を運営していますが、このエル・ポルベニールは祖父、そして父の代から受け継いだ、最も歴史のある農園です。彼が農園を引き継いだ当初は、道路やインフラも整っておらず、民家もほとんどない環境。初年度の生産量は150kgにも満たなかったといいます。そこから小屋を改修し、農地を整備しながら、5年後には1,600kg規模まで回復。まさにゼロから築き上げてきた農園です。
「El Porvenir」はスペイン語で“未来”を意味します。農園の入り口には日本語で「未来」と書かれた看板も掲げられており、この名前に込められた想いの強さを感じます。セルヒオ氏はカッパー(品質評価者)としても高く評価されており、世界各国のコーヒーシーンに足を運びながら、その知識と経験を農園へと還元し続けています。長い年月をかけて築かれてきた土地と、絶え間ない挑戦。未来へ向かって進み続ける農園から届いたコーヒーです。
今回、こちらの生豆はカリオモンズコーヒーより購入しました。伊藤さんは、焙煎士としても尊敬する大先輩であり、その土地や生産者の想いを丁寧に汲み取り、それをコーヒーとして伝える姿勢に、いつも深く感銘を受けています。
今回いただいた農園情報からも、生産者との信頼関係や長い時間をかけて築かれてきたつながりが伝わってきました。その温かさとリスペクトを感じる内容に共感し、引用させていただきます。
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Episode#15
朝から長男のセルヒオJrくん(こちらでは長男に同じ名前を付けます)と迎えに来てくれ、近くの食堂で朝食をとりました。
15歳になったセルヒオくんは少し英語を話せるようになっていて、海外の子供世代の言語力の高さを痛感しています。
セルヒオさんは自宅に乾燥場を持っていますが自身で輸出はしていないハイブリッド型の生産者です。とはいえカッピングのラボまで完備していて夫婦共にカッパーライセンスを持っているため、自分たちでどんどんブラッシュアップができる環境は盛っています。
彼らの今年のクロップの確認とCOE出品用のロットのカッピングをおこないました。Pacamara 種は他の生産者からも多く購入できるため、彼からは今年も Java種を購入しようと思っています。それぞれのプロセスともに安定したスコアが出ました。セルヒオさん自身も仕上がりにご満悦の様子でした。セルヒオJrくんもカッピングを始めていて、お父さんから厳しめに手ほどきを受けていました。おそらく来年は僕らと肩を並べてカッピングできるのではと楽しみにしています。
その後、久しぶりにCasa Blanca 農園を訪ねました。多分前回の訪問から10年ほど経っている気がします。
今回はじめて頂上付近まで連れて行ってもらいました。見晴らしのよい場所でまだまだ未開拓の土地も多く、植えたばかりの Yellow
Pacamara 種とGeisha 種を見せてもらいました。来年以降、このYellow Pacamara種を日本の友人たちに少しずつ譲りたいと考えてくださっているそうです。
最後は午前中は学校に行っていた次男のノエくんも合流し、家族みんなでランチをしました。誰かニカラグアに滞在したい人がいたらうちを使っていいと気軽に話してくれるセルヒオさん。実際ここに長期滞在した日本のロースターも何人かいるので、ロースターやバリスタの長期滞在プログラムを作っても良さそうだなと思っています。
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焙煎は中浅煎りで仕上げています。
1バッチ目は甘さをしっかり引き出そうと時間をかけて焙煎してみたのですが、想定よりも引っ張ってしまい、やや単調で少し暗い印象に仕上がりました。
今回のロットは水分値が11.3%とやや高めだったこともあり、2バッチ目では火力を少し上げて調整。
1ハゼ後40秒あたりからベリーやドライフルーツのような甘い香りが立ち上がり、ディベロップタイムは約1分30秒に設定して、焙煎由来の甘さもしっかり感じられるバランスに仕上げています。
焙煎直後は、くるみやチョコレートのような落ち着いた甘さが主体ですが、12日ほどエイジングを置くことで、ベリーやストーンフルーツのような明るい果実感がぐっと前に出てきます(カッピングでは少しアポロチョコのような印象も…!)焙煎日から2週間ほど経ってからの開封がおすすめです。
淹れたては、ラズベリーやさくらんぼを思わせる甘酸っぱい果実感。そこにナッツやチョコレートのようなじんわりとした甘さが重なり、口いっぱいに広がります。冷めてくると、金柑のようなやさしい柑橘のニュアンスへと変化し、さらにブラックティーのような、赤系の中でも少し深みのある印象へ。味わいの移ろいを楽しみながら、気づけば自然と飲み進めてしまう。
そんな、日常にすっと寄り添うバランスの一杯です。
生産者の想い、インポーターの視点、そして焙煎による表現。
未来へ向かって進み続ける農園から届いたストーリーを、ゆっくりとお楽しみください。