Tri-Up Coffee × Jake Hu
産地の未来と科学が重なる一杯
Ethiopia Sky Project JH Washed
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
エチオピアのコーヒーのご紹介です。
<Alo Coffee>
タミルさん。名前を聞いたことがある方も、タミルさんのコーヒーを買ったことがある方もいらっしゃると思います。彼は10年以上エチオピアのコーヒー業界に携わってきたプロデューサーです。彼はコーヒーの生産地であるSidamaのBensa出身で、多くの知人は自分の庭や農場でコーヒーを栽培しています。自分が生まれる前からコーヒーを作り続けてきた農家の人たちが、その努力に見合う報酬を得られる機会がほとんどないことに心を痛め、育った地域でコーヒーを生産することを決意しました。
Alo Coffeeは2020年にタミルさんが設立した会社です。標高2,400m以上と推定される、非常に高地な場所に主要な施設を設置しました。その翌年、2021年にはエチオピアCOEにて1位(Anaerobic)と5位(Natural)に入賞。自身の生まれ育ったエチオピアでよりよいコーヒーを生み出すこと、コーヒー産業をよりよくすることに励んでいます。簡単に書いてしまいましたが、すごい人です。実際に粕谷さんがタミルさんにどこかの展示会で会った時、とても気さくな人ですぐに仲良くなったと伺いました。すごい人、かつ、いい人…。Tri-Up社は2021年からタミルさんと協力を開始し、品質向上のためにさまざまな実験を試みています。
<Sky Project>
地球温暖化への対応を目的として始まった生豆の探索プロジェクトです。また、Tri-Up Coffeeと生産者が長期的に協力関係を築き、ともに成長し続けることを目指した取り組みでもあります。このプロジェクトでは、より標高の高い区画に注目して栽培を行っています。
シダマ西部に位置するAlo Villageは、標高2,450m以上という非常に高い場所にあり、コーヒーチェリーが熟成するまでに長い時間を要します。この高標高ならではの生育環境が、より凝縮感のあるフレーバーと豊かな甘さを持つコーヒーを生み出しています。
<JH Washed>
「JH」とは、Taster’s Coffee の Jake Hu(ジェイク・フー)氏のこと。
もともとは薬品研究者としてキャリアをスタートし、医師であるパートナーのアメリカ挑戦に帯同したことをきっかけに、在宅で子育てをしながらコーヒーの世界にのめり込んでいきました。科学的な視点からコーヒーを研究しはじめ、「どうすれば美味しさを再現できるのか」を突き詰めていった結果、今では国際的なスペシャルティコーヒー業界で高く評価される存在となっています。台北で Taster’s Coffee を立ち上げ、現在は World Coffee Events(WCE)の代表として、世界大会の運営にも深く関わっています。
JHプロセスは、2020年に Jake Hu 氏と Tri-Up 社の共同研究からスタートしました。
約5年にわたる発酵研究の中で生まれたこのプロセスは、「発酵をより正確にコントロールすること」を目的としています。自然発酵に任せきりにするのではなく、微生物の働きをできるだけ把握・管理することで、フレーバーのブレを減らし、よりクリアで再現性の高い味わいをつくることを目指しています。また、国立嘉義大学(National Chiayi University)と協力しながら、コーヒーから分離した微生物だけを集めた「微生物ライブラリー」も構築してきました。コーヒー由来の微生物を使って発酵させることで、より自然でバランスの良い味わいになることが分かっているそうです。
これらの微生物は無菌環境で個別に培養され、産地へと戻されて発酵に使用されます。
JHプロセスでは、もともとの地域に根付いた伝統的なプロセスをベースにしながら、発酵初期に使う微生物だけをJHが管理した菌株に置き換えます。これにより、望ましくない菌の影響を抑え、フレーバーの輪郭がよりはっきりとした、安定感のあるカップに仕上がります。今回のコーヒーは、チェリーをJHの菌株とともに5日間共発酵させた後、パルピングを行いウォッシュトプロセスへ。その後アフリカンベッドで26日間じっくりと乾燥させて仕上げています。
科学的なアプローチと、産地の伝統的なプロセスが合わさって生まれた、クリーンさと表現力を兼ね備えた一杯。焙煎は浅煎りで仕上げています。淹れたては、オレンジや洋梨のようなジューシーな果実感が口いっぱいに広がります。冷めるにつれて、ストーンフルーツやマスカットを思わせる、より甘く華やかな印象へと変化していきます。また、ブラウンシュガーのようなやさしい甘さと、粘性のある質感が全体を支え、心地よいバランスを生み出しています。複雑な味わいが鮮やかに重なり、透明感のある一杯です。
産地で積み重ねられてきた経験と、科学的な探究心の両方が詰まっているこちらのコーヒー。
透明感のある味わいの中に、しっかりとした甘さと奥行きがあり、飲むたびに新しい表情を見せてくれるコーヒーです。ぜひ時間をかけて、香りや温度変化とともに広がる世界をお楽しみください。