人と土地がまっすぐにつながる
エクアドルらしいトロピカルなゲイシャ種
Ecuador Finca Llavecocha
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
エクアドルのコーヒーのご紹介です。
このコーヒーを私たちに届けてくれたのは、rurukuna Inc. の望月光さん。焙煎の勉強会などでもいつもお世話になっている先輩のひとりで、気さくで、そしてとても熱い想いを持った方です。「エクアドルのコーヒーの魅力をもっと日本に伝えたい」という気持ちを本気で形にしている姿を、私はずっと尊敬しています。
私自身も、望月さんが紹介してくれるエクアドルのコーヒーが大好きで、毎年届くたびに「今年はどんなストーリーに出会えるんだろう」と楽しみにしています。コーヒーそのもののクオリティはもちろん、生産者の考え方や畑の風景、その背景まで含めて届けてくれるのが、望月さんのコーヒーの魅力だと感じています。
<Finca Llavecocha>
Finca Llavecocha は、エクアドル南部ロハ県サラグロ地区、標高2,200mという非常に高い場所に位置する農園です。サラグロは、エクアドルの中でも特に民族色が強く、先住民族サラグロの文化が今も色濃く残る地域。自然と共に生きる価値観が根づいており、コーヒーづくりもその延長線上にあります。
サラグロの村から車でおよそ1時間。山道を進んだ先に広がる La Papaya(ラ・パパヤ)地区は、このエリアの象徴ともいえる大きな滝を抱えています。美しい滝が流れ落ちるその光景は、土地の豊かな水資源とミネラル環境をはっきりと物語っています。この水と土壌こそが、La Papaya地区のコーヒーの力強さの源です。
カルロスの農園は、その La Papaya 地区の中でも最も標高の高い場所にあります。
「2,000mを超える場所で本当にコーヒーが育つのか」と心配されながらも、友人たちの後押しを受けて2019年に1本のコーヒーの木を植えたのが始まりです。試行錯誤を重ねながら育て上げ、2023年に初めての収穫を迎えました。まだ始まったばかりの農園でありながら、すでにそのポテンシャルは高く評価されています。
訪問時に印象に残ったのは、この農園の「美しさ」とのこと。
ゴミひとつ落ちていないほど整えられた環境は、カルロスがピッカーやスタッフと常に情報を共有し、「きれいな農園をみんなでつくる」意識を徹底しているからこそ。(私たちもバリスタとしてお店に立つ時、綺麗な場所からしか美味しいコーヒーは作れないと、粕谷からよく言われています)農園内にはさまざまな果樹も植えられており、単一作物に頼らない、豊かな生態系づくりが感じられます。
カルロスは自分の農園だけでなく、この La Papaya 地区全体をまとめるリーダー的存在でもあります。60以上の農園と関わりながら、生産者同士が支え合い、尊重し合う環境をつくってきました。実際、2021年に初めて開催されたエクアドルCOEで1位を獲得したのも、このLa Papaya地区。地域としての力の強さが証明された出来事でした。
望月さんの買付旅の中でも、この地域は「一人ではなく、農家同士が支え合っている空気」を強く感じる場所だったそうです。「この人のコーヒーもいいから、ぜひ飲んでみて」
そんな紹介が自然に生まれる関係性が、この土地にはあります。偶然のカッピングの場から、新しい生産者との出会いが生まれるのも、生産地に訪れる醍醐味。リスペクトを感じる瞬間でもあります。
今回のGeisha種は伝統的なウォッシュトプロセスです。シンプルなプロセスが一番、このGeisha種の良さを引き出すと判断したそうです。48時間タンクで好気性発酵を行い、チェリーを剥いて24時間休ませます。その後、再度洗いアフリカンベッドで15日間乾燥させます。
丁寧に育てられたGeisha種の素材の良さを邪魔しないよう、浅煎りに仕上げました。焙煎の前半にしっかりと熱量を与えることで、このコーヒーが持つ明るくジューシーな酸味を引き出しています。エクアドルのコーヒーは、1ハゼのタイミングが早いことがあるため、焙煎後半は香りを何度も確認しながら、慎重に進めていきます。9分30秒前後で焙煎を終了し、明るい酸と甘さをバランスよく感じていただけるように調整しました。
挽いた粉からは、赤い果実を思わせる華やかな香りが立ち上がります。淹れたてはパイナップルやさくらんぼ、赤いベリーのような味わいが広がり、明るい酸味がじゅわっと口の中に広がります。冷めるにつれて、パパイヤやりんごのような果実感に加え、ほのかにフローラルな香りも感じられるようになります。元気でワイルドな印象から、明るさはそのままに、少し上品な表情へと変化していくイメージです。
なめらかで密度のある質感が、飲みごたえのある一杯に仕上げてくれます。この土地の水、土、標高、そして人の手仕事がすべて重なって生まれたコーヒー。エクアドルらしいトロピカルな味わいを、存分にお楽しみいただけます。
まだ始まったばかりの農園で、これほどエクアドルらしい魅力が詰まったコーヒーが生まれていることに、正直驚かされました。これから年月を重ねていくことで、Finca Llavecochaはエクアドルを代表する農園のひとつになっていくのではないか――そんな期待に、心が躍ります。