WeneとTri-Up、進化し続けるSoil Project
Single Farm Wene Mariwo Plot(MR)
Philocoffeaにご来店いただき、ありがとうございます。
エチオピアのコーヒーのご紹介です。
Wene農園は、エチオピア・シダマ地域に位置する、若き生産者Ageさんが手がけるシングルファームです。「Wene」という名前は、この農園で発見された特定の猿の名前に由来しており、自然と共にあるこの土地の象徴のような存在だそうです。この農園の最大の特徴は、エチオピアでは非常に珍しい“ブラックソイル(黒土)”。ミネラルを多く含み、微生物活動が活発になりやすいこの土壌が、コーヒーに厚みのある質感や力強さを与えていると考えられています。実際、Weneのコーヒーは他のエチオピアのコーヒーに比べて、よりボディがあり、粘性のある口当たりを持つのが特徴です。
Wene農園では区画ごとに品種を分けて栽培しており、
Shetame区画:74158
K区画:74158
Mariwo区画(MR):74110
と、それぞれ異なる品種の個性を明確に観察できるよう設計されています。今回ご紹介するMR区画は、74110のみが植えられた区画です。
精製方法はすべての区画で共通しており、ナチュラルプロセスです。収穫されたチェリーはまずフローターで未熟果を除去し、その後シングルレイヤーでアフリカンベッドに広げられます。1日に2回攪拌しながら、4-5週間かけてゆっくりと乾燥。途中からは少しずつチェリーを重ね、均一でクリーンな仕上がりを目指します。
Tri-Up社とAgeさんは、このWene農園を「Soil Project」として長期的に育てていく計画を立てています。現在は品種ごとの味わいの違いを検証しており、将来的には、品種の特性に合わせてプロセスを変えたり、品質に応じて土壌の栄養バランスを調整したり、Soil Projectの取り組みを進めていく予定です。単なる単年のロットとしてではなく、農園・土壌・品種・精製の関係性を長期的に検証し続けるプロジェクトであることが、このコーヒーの大きな魅力でもあります。
まだ若い農園ではありますが、ブラックソイルという希少な環境と、Ageさんの情熱、そしてTri-Up社の継続的なサポートによって、Weneは今後エチオピアを代表する農園のひとつになる可能性を秘めています。“今まさに育っている農園の現在地”を味わえる、そんなストーリーを持ったコーヒーです。
今年の福袋にShetame区画のコーヒーが入っていたのですが、こちらもSoil Projectのコーヒーです。昨年末にどちらもサンプル焙煎を行い、飲んでみたところ、口当たりのトロンとした質感に驚きました。重たさはないのですが、しっかりとした粘性があり、まるでシロップのような口当たりです。フレーバーの魅力はもちろんですが、この“液体の質感”もぜひ楽しんでいただきたいポイントです。
生豆は小粒ながらとても綺麗で、水分値が低めだったため、火力はやや抑え、豆の蓄熱を活かしてじっくりと焼き上げるイメージで調整しました。小粒のエチオピアは1ハゼの音が取りづらいため、香りがパッと開く瞬間を逃さないよう、終始香りを取りながら慎重に焙煎終了のタイミングを見極めています。焙煎直後のカッピングでも、ストーンフルーツの甘さが一気に押し寄せてきて、Weneの持つ高いポテンシャルを強く感じました。
“今、何か美味しそうなコーヒー挽きました?”と、挽いた瞬間にスタッフから声をかけられるほど、香りの良さが際立っています。(スタッフもさすが、よく気づきます笑)
温かいうちはレッドチェリーやラズベリーのような甘酸っぱい印象ですが、冷めてくるにつれて、デラウェアや黄桃を思わせるような、より濃厚で甘みのあるフルーツの印象へと変化していきます。冷めてきたときの味わいは、Ethiopiaの“TOMODACHI”に少し似たニュアンスも感じました。
浅煎りでありながら、とろっとした、しっとりとした質感が感じられるのが、私にとって特に驚きだったポイントであり、同時にとても好きなところでもあります。
このコーヒーが、品種や土壌の研究をさらに深めていくことで、これからどこまで洗練されていくのかと思うと、すでに来年が楽しみでなりません。Ageさんの丁寧な仕事ぶりと、Tri-Up社の探究心。その両方が感じられて、“まだスタート地点でこのクオリティなのか”と、これからの可能性に大きな期待が膨らむコーヒーです。